鹿児島県の西、東シナ海上に浮かぶ甑島列島。
上甑島、中甑島、下甑島の3つの島が並んでいます。
この3つの島が有人島であり、そのほかに多数の無人島が周辺に点在しています。
一番北側に位置する上甑島の北部には、甑四湖と呼ばれる、
須口池、
鍬崎池、貝池、
なまこ池の4つの海跡湖が並んでいます。
鍬崎池、貝池、
なまこ池の3つの池と、それらを形成する砂州は、県道352号線沿いの展望地から一望でき、
この砂州を「長目の浜」と呼んでいます。
長目の浜によって形成される3つの池は、それぞれ他の池と似た姿でありながら、異なる水質、生物相をもっているのが特徴とのこと。
特に、この貝池は、非常に特別な生物相をもっています。
池の上部5~6mまでは、雨水などによる塩分濃度の少ない水の層となっており、
6mより下は、春から夏の間に侵入した海水が停滞する層となっているとのこと。
下部の海水層は酸素がほとんどなく、硫化水素を多量に含んでいて、一部の特別な微生物しか生息できない環境だそうです。
さらに、その下層と上層の間には、約20cm程度の厚さで特別な光合成細菌、クロマチウムが密に分布しています。
このクロマチウムは赤紫色なので、赤紫色の層が広がっているそうです。地上からは5m下の水面の赤紫色は
なかなか見えなかったですが、水面下に思いを馳せると、なかなか興味深いです。
貝池は、よく貝が取れるということで「貝池」という名前なのですが、深いところは二重底になっていると恐れられていたそうです。
まさに、貝池は上層と下層の二層構造の池であり、それが漁師の人のあいだでは共有されていたのかもしれません。
訪問記1:2022/01/01
上甑島北部にある甑四湖の位置図。
鍬崎池、貝池、
なまこ池を形成する砂州を長目の浜と呼んでいます。
貝池となまこ池は非常に隣接しており、2つの池の水はつながっています。
(「国土地理院 地理院地図」より 一部文字と線を記入
https://maps.gsi.go.jp)
県道352号線沿いの展望所。広大な海を見渡せる絶景ポイントですが、この奥には・・・
長目の浜と貝池、
なまこ池の見事な眺望が広がります。
貝池と
なまこ池を隔てる尾根の先端。
左が貝池、右が
なまこ池。手前の浜が長目の浜です
2つの池の境界には駐車場があります。あとで、あそこにも行きます。
長目の浜展望所より。
ここからは、長目の浜によって海と切り離されている
鍬崎池、貝池、
なまこ池を一望できます。
長目の浜を隔てて、波立つ海と静かな海跡湖が、明確に切り分けられています。
貝池を県道から俯瞰します。奥に、さきほど見た駐車場が見えます。
二層構造の水質を持つという貝池。地上からは、なかなかその片鱗はうかがい知れません。
県道352号線からわかれて、小道に入りました。
この小道は、ちょうどなまこ池と貝池を隔てる尾根上を通っており、
先ほど見たなまこ池・貝池の間にある駐車場が終点になります。
終点の駐車場に到着。右が貝池、左がなまこ池です。
それぞれの池の方向に、それぞれの池の解説板が設置されています。
貝池となまこ池を隔てる道。
いちおう水はつながっていて、右の貝池から左のなまこ池に、ちょっとだけ水が流れていました。
基本的に貝池のほうが水位が高いそうなので、水は貝池からなまこ池に流れますが
風向きによっては逆流することもあるそうです。
見た目は似ているが中身は違う、2つの池がならぶ風景です。
項目名 |
|
所在地 |
鹿児島県薩摩川内市 |
湖の成因 |
海跡湖 |
周囲総長 |
- |
面積 |
約0.16[km^2] |
最大水深 |
約11[m] |
貯水量 |
- |
標高 |
約0[m] |
河川 |
- |